桃色
「タケル、茶髪にしたんだね!」

何だか嬉しかった。

真っ黒にしてた髪の毛が茶髪になってたから。


「あぁ、あとこれ見ろ!」

そう言って、耳を指差した。

「あぁ〜!!!」

そこには、ピアスが着いていた。

しかも、7個。


私は笑い転げた。

「タケル、このやろ〜、東京行って、洒落っけづきやがって〜!!」

私が調子に乗ってそんなことを言ってると、タケルは冷静に否定した。

「そういうわけじゃねえよ・・・」

「じゃあ、どういうことなの?」

「まぁ、自分らしくが一番ってことだな」

タケルはそう言った。


「そうだよね・・・。でも、タケル、あの頃の私の反対だね」

「そうやな・・・」

私達は海を見ながら、いつまでも笑い合っていた。



それから、時間が合えば、私はタケルと会って話をした。


「そうだ、タケル、私に電話してきたことあったよね?」

「えっ?いつの話だよ?」

「タケルがいなくなってちょうど1年ぐらい経った頃かな?」

「俺、してねぇよ・・・」

タケルは東京にいる間、一度も私に電話してきてないって言った。


「じゃ、あれ、誰だったんだろう?」

「何が?」

「一回ね、非通知でかかってきたことがあってね。私、タケルだと思ったから、タケル?って何回も聞いたの。そしたら、いきなり、切られちゃって・・・」

「ふぅ〜ん、間違い電話じゃねぇの?」

「やっぱり、そうなのかなぁ・・・」


私は、タケルに言われてそう思った。

あの電話に意味があったなんて・・・思いもしなかった。

< 289 / 500 >

この作品をシェア

pagetop