桃色
私達は喫茶店に入って話をすることにした。

美鈴ちゃんの子ども達ははしゃいでいた。


「静かにしなさい!!」

美鈴ちゃんはいいお母さんになっていた。


「さっきの人、本当に彼氏じゃないの?」

美鈴ちゃんにそう聞かれて、私は慌てて
答える。

「違うよ~。普通に仲がいい友達だよ~」

「じゃぁ、桃子、今、彼氏いないの?」

「いないよ~。募集中だよ~」

私は適当にそう言って笑った。


ふと、美鈴ちゃんの目線が私の右手にある
ことに気付く。

すると、美鈴ちゃんは真顔になって私に頭を
下げてきた。

「桃子、ごめん。
 私のせいで優士と別れてしまったん
 でしょ?愛に聞いて知ってたけど、
 どうすることも出来なかった・・・」

「もう、美鈴ちゃん、何言ってんの?
 そんな昔のことすっかり忘れてるよ! 
 あれから、9年も経ってるんだよ?」

私はそう言って笑ってごまかす。


「桃子にいっぱい嫌な思いさせたよね、
 本当にごめん・・・」

「美鈴ちゃんは何も悪くないから。
 だって、私がゆぅ君のこと取ったんだもん。
 悪いのは全部私だよ・・・。
 私の方こそ、ごめんね・・・」

私がゆぅ君を好きにならなかったら・・・。


「桃子に優士を取られたって思ってた。
 その上、健二まで桃子の味方するし。 
 だから、桃子がすごい憎かった」

分かるよ、その気持ちは・・・。

「優士はなんで桃子なんやろう?
 って思った。桃子は私にとってすごい
 かわいい妹みたいな存在だったのに。
 二人を失ったことがすごく悲しくて、
 ひどいこといっぱいした・・・」


美鈴ちゃんはあの頃のことを素直に
話してくれた。
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