桃色
「それってさ・・・」

健ちゃんはそう言って私の右手を指差した。

「あぁ、コレ・・・」

私はそう言って指輪を握った。


「それって、優士からもらったやつだろ?」

「よく、覚えてるね。これ、あれからずっと
 肌身離さずつけてたの。
 ハタチの時、指に着け直したんだ。
 大切なお守り・・・」

「ふぅ~ん」

健ちゃんはそう言ってなぜだか笑ってた。


「桃子、彼氏は?」

「もう、3年ぐらいいないよ?もっとかな?
 それが、どうかした?」

「べ、別に、どうもせんけど。そっか・・・」

「私のことより、健ちゃんこそどうなの?
 結婚生活は・・・」

「俺か?俺は別に。普通だな」

健ちゃんは21歳の時に結婚した。

千絵から聞いてたから知ってるんだ。


「普通なの・・・?」

私がそう聞くと、健ちゃんは照れ臭そうに
言った。


「今、嫁さん、妊娠中・・・」

「うそ?健ちゃんパパになるの?」


健ちゃんは照れ臭そうに頷いた。


みんな、大人になっていくんだね。

いつか、私も大人になっていくのかな?


結婚して、子どもを生んで、幸せな家庭
作れるのかな?


その前にまず、彼氏だけどね。


いつか、いつか私は幸せだって胸を張って
言えるようになるのかな・・・?


そんな日が必ず来るなんて保障はない
けど、いつかきっと・・・
そんな日が来るって信じたいな。

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