桃色
「じゃぁ、行こっかな・・・」

私達はそう言って、店を出た。



『素直になれよ』

さっき、健ちゃんが言っていた言葉が
頭の中でグルグル回る。


店を出てすぐのところにベンチがあるのに
気付いた。

私達は迷わずそこに座った。


何を話したらいいのか分からない。

だって、9年ぶりに会ったんだよ??


ゆぅ君にずっと会いたかった。

私は真っ直ぐゆぅ君を見ることが出来くて。


ゆぅ君、あの頃より少し大人な顔つきに
なってる。

ゆぅ君から見た私もそんな感じなのかな?

私は、何気なくゆぅ君の手を見た。



嘘・・・。指輪してる・・・。


私は恥ずかしくなって、思わず右手を後ろに
隠した。


ゆぅ君、今、あなたは何を考えているの??


すると、ゆぅ君が口を開いた。


「久しぶりだな・・・」

「・・・・・うん、久しぶり・・・」

「元気だったか?」

「・・・うん」

「ってか、水嶋、全然変わってねぇな・・・」

変わってないって言われるとすごく嬉しい。

本当はすごく変わってるんだけどな・・・。


「うそ?だいぶ、変わったよ!!
 ゆぅ君はちょっと老けたね・・・」

「まぁな・・・。
 これでもいろいろ苦労してんだよ」

ゆぅ君はそう言って苦笑いをした。


そして、私を見て言った。
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