桃色
私は重い足取りで、3年1組の教室へ向かった。



「千絵、2組に遊びに行くからね!」


千絵にそう言い残して。


「なつ、3組に遊びに行くからね!」


なつにそう言い残して。




1組に入るのが何だか嫌だった。


しばらく、そこに立ち尽くしていたと思う。



「おい!!はよ~、入れって!!」


そう言われて、誰かに背中を押された。


私は慌てて振り返った。


そこにいたのは、優士君だった。


「ごめん・・・」


そう言って、教室に入ろうとした私に優士君が言った。


「どしたんや?元気ないやん・・・」

「何でもないよ!!」


私はぶっきらぼうにそう答えた。


こんなとこ、美鈴ちゃんに見られたら困るよ・・・。


最近、美鈴ちゃんはイライラしてるみたいだった。


愛ちゃんが言ってたんだけど、優士君が愛ちゃんと話してるだけで、キレるらしい。


愛ちゃんは友達なのに・・・って言ってたけど。



それだけ、優士君のことが好きだってことなんだよね。


私にだって分かるよ、その気持ち。



ヒロ君が他の女の子と話してるのを見ると胸が痛くなるんだ。



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