桃色
「もう、ネックレスしてねぇんだな・・・」

「ネックレスって・・・?」

私は慌ててそう聞いた。


すると、ゆぅ君が静かに話し始めた。

「俺があげた指輪、ネックレスにして
 つけてただろ?」

「えっ??何で知ってるの?」

もしかして、健ちゃんが言っちゃった?
そんなことを思っていると・・・。

「最後に一緒に帰った日に、俺、
 そのことに気付いたんや。
 失くしたって嘘ついてたこと知ってたしな。
 でも、もう、してねぇんだな・・・」

そう言うゆぅ君の声は震えてた。

「・・・違うよ?」

「えっ??」

「ほら・・・」

私は、そう言って、右手を見せた。



「それって・・・」

「うん、ゆぅ君に貰った指輪だよ。
 ゆぅ君の言うとおり、ずっと
 ネックレスにしてつけてた。
 だけど、ハタチの時からはずっと
 指につけてるの・・・」

「・・マジで・・・?」

「うん。大切な宝物だから・・・。
 お守りなの・・・」

私がそう言ってると・・・


「あぁ~、マジ、もう我慢できねぇ!」

ゆぅ君はそう言って、私を抱きしめた。

「えっ・・・」

「俺、ずっと、水嶋のこと好きだった。
 ずっと、水嶋のことだけ想ってた」

ゆぅ君、私のことずっと想ってて
くれてたの??


あれから、ずっと??

9年も経ってるんだよ?

その間、ずっと・・・??


「・・・本当に?」

「本当だから・・・」

「私も、ずっとゆぅ君に会いたかった。
 ゆぅ君がいなくて寂しかった。
 私、ゆぅ君じゃないとダメなの。 
 ゆぅ君のこと大好きだよ・・・」

「マジで?」

「うん。マジで・・・」

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