桃色
「俺な、大阪で仕事ばっかしてた。
 早く一人前になって、水嶋のとこに
 会いに行こうって思ってたら頑張れた」

「うん、大阪のこと聞いてた」

「あれから、ずっと忘れることなんて
 なかった。今も、水嶋のこと、すげぇ
 好きなんだよ!」

「私も、今も、大好きだよ!」

私がそう言うと、ゆぅ君は私を真っ直ぐ見て
言った。


「俺ら、やり直さねぇか?」

ゆぅ君にそう言われて、私は涙を流しながら
頷いた。


ずっと夢見てた。

また、あの頃のように・・・って。


私達はそのままキスをした。

抱きしめられて、抱きしめて・・・。


私の目からは大量の涙が流れた。

ゆぅ君も目を潤ませていた。


そして、涙を流しながら、私は話し始めた。

「ずっと、忘れようって・・・諦めようって
 思ってたの。でも、ずっと忘れられなくて」

伝えたいことはたくさんありすぎる。

「他の人と付き合っても、誰と一緒にいても、
 いつもゆぅ君のことばっかり考えてた。
 私は、ゆぅ君しか愛せないんだよ・・・」

私の話を聞いていたゆぅ君が俺も・・・
って言って抱きしめてくれた。


「愛してる・・・」

生まれて初めて言われた。

「私も・・・。愛してる・・・」

生まれて初めて言った。

それから、私達は、何度もキスをした。

付き合っていた時は、手を握ったこと
しかない。


今日、私は、ゆぅ君と初めてキスをした。

今日は、初めてのことがいっぱいあった。


ずっと、会いたかった。

ずっと、触れたかったよ。

あなたに・・・。

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