桃色
一ヶ月は思ったより長い。

一日一日が、今までよりとても長く感じる。


仕事が終わると、私はいつも夜中まで
誰かと過ごす。

また、弱い私が出てくる・・・。


夜中にかかってくるゆぅ君からの電話。

それまで、私は一人ではいられなかった。

一人でいると、嫌でもゆぅ君のことを考えて
しまって、すごく寂しいから・・・。


毎日、連絡を取っているけど、それだけじゃ、
やっぱり足りない。

すごく寂しいんだ。


千絵は家庭があるし、なつは結婚の準備で
忙しそうだし、健ちゃんも今、お嫁さんが
大変だし、梨花も仕事が忙しくて会えない。

しばらくは、ずっと仕事仲間と遊んでた。



「あ~ぁ、思ってたより、一ヶ月って長い・・・」

私がそう言うと、何言ってんだよ!って
渇を入れられた。

・・・タケルだ。

最近は、ほとんどタケルと過ごしている。

タケルといると、無理をしなくていいから
すごく楽なんだ・・・。


「私、タケルと付き合ってた方がよかった
 かも・・・」

何気なく言ってしまった。

思っていたことが口に出てた。

だって、タケルと付き合ってたら、今みたいに
ずっと一緒にいられるから・・・。

それに、タケルはこんな私のこと全部
知ってるから・・・。

きっと、受け止めてくれるよね?


「何、言ってるんや!
 お前は優士とラブラブだろうが!
 アホなこと言うなよ!」

タケルにまた怒られた。

「ごめん・・・」

「もう、二度と優士のこと裏切るなよ!?」

言葉は厳しかったけど、タケルはすごく
優しい顔をしてそう言った。

「分かってるよ。私にはゆぅ君しかいないよ。
 でも、タケルは大事な親友だよ」

私にとって、ゆぅ君は恋人で、タケルは
友達・・・、違う、大切な親友だ。

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