桃色
「ゆぅ君、私ね・・・。私はね・・・」

私が話し始めようとした時、ゆぅ君に口を
塞がれた。


それは、長い長いキスだった。


息が苦しくなって、思わず口を離した。

「・・・ゆぅ君?」

キスを終えた後、私は聞いた。

「悪いけど水嶋の話、聞きたくねぇ・・・」

ゆぅ君は一言そう言った。

その表情はどこか寂しげだった。


「でも、私は聞いてほしいの・・・」

私がそう言うと、ゆぅ君は真っ直ぐ私を見た。

「ごめん。でも俺は、聞きたくないんや!」

「分かった・・・」


今、ここで言うべきことじゃないのかも
知れない。

でも、どうしても、伝えなきゃいけないと
思った。


例え、ゆぅ君に嫌われるとしても・・・。

話してしまえば、きっとゆぅ君は私のこと
なんか嫌いになる。


きっと、私達は終わってしまう・・・。


それでも仕方ないって思う。

その時は、スッパリ、ゆぅ君のこと諦めよう。

せっかく、今、こうして一緒にいられるのに。

だけど、それだけのことを、
私はしてきたんだから・・・。


どれだけ自分を責めても、悔やんでも、
後悔しても、消えないの。


もう、二度と消すことは出来ない過去
なんだ。


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