桃色
・・・座ってきたのはヒロ君だった。


私は心臓が飛び出るくらいビックリした。


横を見ると、ほんとにすぐそこにヒロ君がいた。


「ヒロ君、サッカーやってたの?」


緊張しているけど、いつも通りそう話しかける。


「あぁ~、疲れた!」


私の問いかけにも答えず、ヒロ君はそう言って寝っころがった。


少し汗をかいている。



汗が太陽に反射して、眩しくキラキラと光っていた。


ハンカチどうぞ・・・とか、女の子らしくしたいけど、残念ながら私はそんなにかわいらしいことができない。

だから私は、そんなヒロ君をただ見つめていた。




しばらく寝転がっていたヒロ君が突然、身体を起こした。


「水嶋はやらんの?」


そう言って、体育館の中を指差す。


「私は、見てる方がいいから」

「ふぅ~ん」


そして、こんなことを言い出した。


「なぁ、さっきから優士のこと見てるよな?」

「えっ?」


・・・びっくりした。

ヒロ君がいきなりそんなこと言うから。


「違うよ。みんなのこと見てるんだよ!でも、優士君のことはうまいなぁって思いながら見てたかも」

「ははっ、そっかぁ~」


そう言ってヒロ君は笑った。


なんか私、焦ってたかなぁ?


< 38 / 500 >

この作品をシェア

pagetop