桃色
「なぁ~、健二がずっと好きだった人が
 誰か知りたいか?」

ゆぅ君が真面目な顔で聞いてくる。

「う~ん・・・。何となく分かったから、
 言わなくていいよ」


きっと薫ちゃんのことだよね?

聞かなくても分かる。

それに、健ちゃんのこと、私が詮索すること
じゃないから・・・。


「健ちゃんさ、今、幸せだよね?」

これだけは、聞いておきたい。

「おぉ、あいつ、すげぇ、嫁さんのこと愛してる
 って言うてたわ」

「よかったぁ~」


健ちゃんはいつも笑ってたから、そんなに
想ってる人がいるなんて知らなかった。

だって、あの頃、奈々さんのことすごく大事
にしてたもんね。


奈々さんのこと愛してたことに嘘はないと
思う。

それ以上に、薫ちゃんのことが好きだった
ってことだよね?

でも、今は奥さんのこと愛してる。


私にもいろいろあったように、健ちゃんにも
いろいろあったんだよね?


今、幸せつかんでる健ちゃんは輝いてるよ。


< 380 / 500 >

この作品をシェア

pagetop