桃色
私は、急いで、千絵達と一緒にステージの
方に向かった。

健ちゃんが、可笑しなことを言って、みんなを
笑わせている。

相変わらずな健ちゃん。



「はい、じゃ、主役の優士に変わります!」

健ちゃんがそう言って、マイクをゆぅ君に
渡しているのが見えた。


「って、お前、いきなりなんだよ!
 俺、何も言うことねぇけど・・・」

「何でも、思ったこと言えばいいだろ!」

二人の言い争う声が、マイクを通じて
みんなに届く。



「ははっ、ケンカしてるよ~」

「健二がいきなりそんなこと言うから、
 優士君困ってるんじゃないの?」


私は千絵達と二人のことを見て笑ってた。


健ちゃんが早くしろってゆぅ君を急かす。

そして、ゆぅ君は、しぶしぶ話し始めた。


「今日は俺のためにみんな集まってくれて
 ありがとうございます。
 俺は、17の時から、ずっと大阪に行って、
 仕事をしていました。それで、やっと、
 こっちに帰って来れることになりました」


ゆぅ君が話し始めると、ザワザワしていた
話し声もピタリと止んで、みんなステージ
の方に注目し始めた。


「水嶋から、俺が帰ってきたら、パーティーを
 するからって聞いた時は、まさか、こんなに
 たくさんの人に来てもらえるなんて思って
 なかった。だから、今日ここに来た時は、
 すげぇびっくりしたし、すげぇ嬉しかった。
 マジで、ありがとうございます」


会場からは、パチパチパチと拍手の嵐!!


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