桃色
「なんで、タケルが謝るの?」

私が聞くと、タケルは真剣な顔をした。


「ごめん、俺、桃子に嘘ついてた。
 彼女なんていない・・・」

「タケル、会社の子に告白されたって言った
 よね?あれも嘘だったの?」

「違う!!それは嘘じゃない。
 正直に言えば、告白されて嬉しかったし、
 付き合おうって思った。
 だけど、俺は桃子のことが・・・
 どうしても・・・」

「タケル、ごめんね・・・」

タケルの言葉を遮って謝った。


それ以上、聞きたくなかったから・・・。


「でも、俺・・・」

「ごめん、言わないで・・・」

どうしても、聞きたくなかった。


でも、タケルはどうしても聞いてほしいって
頼んでくるから、私は話を聞くことにした。


「俺な、ケリつけるために東京に行ってた
 って言っただろ?実は、あれ、桃子の
 ことだったんや・・・」

それから、タケルは話してくれた。


もう、私のこと友達として見れる、
接することが出来るって思ったから、
帰ってきたこと。


そして、私に会ってくれたこと。


それから、私が寂しい想いをしないで
いいように一緒にいてくれてたこと。

彼女が出来たって言っておけば、
私が安心するだろうって思ってたこと。

私がゆぅ君のことだけを想ってられるし、
タケルとも普通に友達でいられるからって。


その為に、嘘をついてくれてたこと。

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