桃色
「俺な、昨日、優士に会ってな、すげぇ安心
 したんや」

「安心したって?」

「もし、優士が、桃子のこと真剣に想って
 なかったら、俺が奪ってやろうって
 思ってた。でも、あいつ見てたら、桃子の
 ことすげぇ好きなことが伝わってきたし、
 俺は、やっぱり、桃子にとって、友達やな
 って思ったよ」

そんなこと、思っててくれたの?

「今は、ホンマに友達として好きやから・・・。
 友達として、そばにおりたい・・・」


タケルは、今までどんな気持ちで私のそば
にいてくれたんだろう?

苦しかった?辛かった?


私はまた、タケルの気持ちに何一つ
気付くことが出来なかった。

私、タケルと付き合ってたらよかった~
なんて言ったこともあるよね。

昨日なんて、ふざけてタケルなんて
眼中にないって言ったよね。


どれだけ、傷付けただろう?

たぶん、きっと、数え切れないぐらい。


・・・ごめんね。ごめんなさい。


私は、タケルからいろんなこと教わったよ。

だけど、ごめんね・・・。

これが、最後だよ・・・。

タケルに会うのこれで最後になる。



私は、タケルにさよならも言わず、
タケルの部屋を後にした。


一言だけちゃんと言いたかった。

ありがとうって・・・。

何度言っても、足りないけど、ありがとう。


私は、大切な人を失った。

愛を守るために犠牲は不可欠なのかも
しれない。


でも、苦しかった。・・・辛かった。


私ね、タケルと一緒にいる時、
心から笑えてたんだよ。


もし、生まれ変わったら、
今度はちゃんとタケルを愛したい。

そう思った・・・。

< 415 / 500 >

この作品をシェア

pagetop