桃色
あぁ~、早くしないとゆぅ君が帰って
きちゃう!

そんなことを思って、私は目を開けた。



「・・・あれ?」

私の目に映ったのは、白い大きな天井・・・。

私達の家じゃない。


どこなの・・・?

ここは一体どこ?


「えっ・・・?」

誰かが、私の手を握ってる・・・?

恐る恐る、手の方に目をやる。


「・・・水嶋、起きたか?」

いつもと同じ優しい声。

・・ゆぅ君だ・・・。



「私、どうしたの?ここ、どこ?」

私は、急いで起き上がり、周りを見回した。

ゆぅ君は、病院だよって教えてくれた。



「・・・病院?」

「水嶋、なかなか起きねぇから心配したよ」

ゆぅ君がホッとした顔でそう言った。

いつもに増してすごく優しい口調で・・・。


「って、今、何時?」

私は、慌てて聞いた。

「今、10時ぐらいか?」

ゆぅ君は時計を見ながら言った。

「・・・夜の?」

「夜じゃないだろ、朝だよ」

ゆぅ君は笑いながら、外を指差した。

「あっ・・・」


外を見渡せば、外はすっかり午前10時の
景色・・・。


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