桃色
しばらく、看護婦さんと話し込んだ。


「どの人が彼氏なの?」

なんて聞いてきたから、

「一番、かっこいい人だよ!」

って教えてあげた。


もちろん、分かってくれたよね?



「私にもね、あなたぐらいの子どもがいるの」

「嘘?看護婦さん、一体いくつよ?」

「それは、秘密~。きっと、あなたのお母さん
 と変わらないわね」

「はは~。じゃぁ、何となく分かった~」


看護婦さんとはすぐに打ち解けられた。

なんだか、本当に、お母さんと話している
ような気分になれた。


だから、嬉しかったし、楽しかった。


そして、看護婦さんも帰ってしまって、
私は、一人で考え込んでいた。




「あれ?健ちゃん一人?」

健ちゃんが一人で帰ってきた。

「あぁ、なんかあいつら二人で話してたけん。
 俺、仲間はずれや~」

健ちゃんがそんなことを嘆いていた。


「健ちゃん、ありがとうね・・・」

本当はもっとちゃんとありがとうって
言うべきなんだと思うけど・・・。

「何や、見舞いのことか?
 そんなん当たり前だろ?」

いつもの調子で笑ってくれる。


「なんか、私、いつも心配ばっかりかけてて、
 弱くてどうしようもないよね・・・」

「んなことねぇよ。桃子は女だから、
 弱くて当たり前だろ」

「女か・・・。
 私も男だったらよかったのにな」

「何言ってんだよ?」


だって、そう思ったから。

もし、私も男だったら・・・。


健ちゃんとも普通に友達でいれたよね。


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