桃色
「何時に、退院できるんだろう?」

「あぁ~、確か夕方ぐらいになるって
 言うてたな」

夕方、やっと退院できる。


病院にいたのは、短い時間だったけど、
随分長い間いたような気がする。


帰ったら、いろんなことやらなきゃ
いけないな・・・。



「水嶋、俺って重いか?」

何気ない話をしていると、急にゆぅ君に
聞かれた。

いつもより小さな声で・・・。


「えっ?何が・・・?」

「俺の束縛、きつくないか?」

「束縛・・・?」


束縛がきつくないかって?

私にはゆぅ君の言っていることが全く
分からない。

もしかして、私が倒れたの、自分のせいって
思ってる?


「俺な、水嶋のこと縛ってたよな。特に、一緒
 に住むようになってから。タケルのことも
 いちいちうるさかっただろ?」

「そんなことないよ。だって、好きだから、
 そう想ってくれるんでしょ?だから、
 別に重いって思わないし、逆に嬉しいよ。
 それに、束縛なんて初めてされたし・・・」


私は思ったことをそのまま伝えた。


ゆぅ君はそんな私を見て、少し驚いていた
けど、笑ってくれた。



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