桃色
「ちゃんと、俺の目を見て言え!!」

ゆぅ君は強い口調でそう言った。


でも、私はすぐに下を向いた。

ゆぅ君の顔が見れない・・・。

見れるはずないじゃん・・・。


健ちゃんやタケルのこと、傷付けていること
ぐらい分かってる。

だけど、もう会わないほうがいいんだよ。

奈々さんもそう言ってたし、みんなもそう
言うし、私もそう思うから・・・。

そんなことを思っていると、涙が零れ
始めた。


「一人で抱え込むなって!健二もタケルも
 お前のこと大事やって思ってるんやぞ?」

ゆぅ君が優しく私を見つめてくれる。

「それが嫌なの!なんで、みんな私のこと
 好きになったりしたのよ!」

涙を流しながら、私はゆぅ君に言い放った。


「やっぱりな・・・。やっぱり、健二がずっと
 好きだった人が誰か分かったんだろ?
 健二が水嶋のことずっと想ってたこと
 知ったんやな。奈々さんだろ?
 タケルから、聞いた・・・」

ゆぅ君は全部知ってた。


全部知ってたけど、私の口から聞きたかった
って言ってくれた。


「俺って、そんなに頼りないか?」

ゆぅ君が悲しそうな顔で私を見つめる。


・・・この顔、前にも見たことがある。


私、何でいつもゆぅ君にこんな辛い顔させて
しまうんだろう・・・?

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