桃色
・・・私は、話した。

奈々さんから聞いたこと。

健ちゃんの想い。

そして、タケルのこと。


本当は、嬉しかったこと。

こんな私のこと、好きになってくれていた
こと、すごく嬉しかった。


だけど、健ちゃんはゆぅ君の友達。

私達にとって、大切な友達。

失いたくないって思ったから、自ら失くして
しまったこと。


「大丈夫や。健二はずっと、水嶋と友達
 やからな!!」

ゆぅ君の言葉が胸に響いた。


みんな、優しいね・・・。

こんな私になんでそんなに優しくして
くれるんだろう?



そして、ゆぅ君が話し始めた。


「俺な、何年か前、一回だけ、水嶋の携帯に
 電話したことがあるんや・・・」

「えっ?私に電話してくれたの?いつ??」

ゆぅ君が思いがけないことを話し始めた。


「その時、水嶋、電話に出るなり、タケル?
 って・・・。何回も何回もタケル、タケル
 って。すごい必死な声でそう言ってた・・・」

「・・それって・・・」

「俺、なんか虚しくて、すぐに電話
 切ったんや・・・」

「あの電話、ゆぅ君だったの・・・?」

「あぁ・・・」

「・・嘘・・・」


・・思い出す・・・。
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