桃色
「タケルのことで悩ませてたんやな、
 ごめんな。俺のせいで、水嶋のこと
 こんなに苦しめて、倒れるまで我慢
 してたんだろ?」

「違うよ!ゆぅ君のせいじゃない!全部、
 私のせいなの。倒れたこと?それは、
 私のせいだよ・・・」

「他にも何かあったんだろ?
 全部、話してくれ・・・」



あなたは全部、聞いてくれますか?

私の過去全て・・・。



「私ね、ゆぅ君と再会してね、毎日がすごく、
 幸せだったよ。だけどね、私が最低な女
 ってことに変わりはなくて・・・」

「俺は水嶋のこと最低な女とか思った
 ことなんかないぞ!」

ゆぅ君が真っ直ぐ私を見て、そう言って
くれた。

・・・もう十分だよ・・・。



「ゆぅ君と初めての時ね、話してくれた
 でしょ?」

「何を?」

「ゆぅ君の過去の話・・・」

「あぁ・・・」

「あの話、聞いた時ね、すごく自分のことが
 許せなかった。ゆぅ君は私だけを想って
 くれてたのに、私はそうじゃなかったって
 思ったら、すごく自分が許せなかった・・・」

「自分のことばっか、責めんなよ!」


ゆぅ君の顔を見ると、泣きそうになる。

だけど、堪えて話を続ける。


「私も初めてはゆぅ君がよかった」

そんなこと言ってもしかたないのに・・・。

「どうして、思い続けられなかったん
 だろうって・・・。ゆぅ君に抱かれるたびに、
 後悔するの。私の身体は汚いって・・・。
 過去を思い出して、苦しくなって、眠れなく
 なるの・・・」

「ずっと、寝れてなかったんか?そんなこと、
 水嶋が苦しむことじゃねぇよ。もう、何も
 気にしなくていいからな?」


ゆぅ君は私の頭を撫でながらそう言って
くれた。

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