桃色
「それで、山田達はいつ来るんだよ?」

ゆぅ君は落ち着かない様子。

「もうすぐだと思うよ。
 今から行くって言ってたから」

「そっか・・・」


健ちゃんがタケルと一緒に買出しに
出掛けた。


今は私とゆぅ君の二人っきり。

さっきまで、健ちゃんとタケルがいて
賑やかだったけど、今は静か。


「ゆぅ君さ、子ども好きなんだよね?」

私がそう言うと、ゆぅ君はびっくりした顔
をした。


「何で、知ってるんだよ?」

「知ってるよ。ゆぅ君のことなら何でも!」

私がそう言うと、ゆぅ君は恐ぇ~って笑った。


「だって、小学校とか中学校の時さ、小さい
 子のことすごい可愛がってたでしょ?
 私、見てたから、知ってるの~」

そんなことを言うと、ゆぅ君が話してくれた。


「俺な、一人っ子だろ?
 それに、いとことかも年上ばっかでな。
 だからな、弟や妹がほしかった」

「そうなの?」

「うん。だけん、近所のガキとかすげぇ
 可愛がってた。
 そんなガラじゃねんだけどな・・・」

照れ臭そうにゆぅ君は笑う。


「ゆぅ君って、子ども大好きなんだよね?
 自分の子どもってほしいとか思う?」

「子ども好きだし、やっぱり自分の子ども
 ほしいと思うよな~。何人でもいい。
 一人でも、もっと多くても、俺はすげぇ
 愛情注いでやろうって思うし。
 俺の親みたいに・・・」

いつか、親父になりたいってゆぅ君が
言った。


「ゆぅ君なら、きっといいお父さんになれる
 と思うよ。うん、絶対、なれる!」


本当に、そう思う。


ゆぅ君のその夢を私が叶えてあげられたら、
いいんだけど・・・。


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