桃色
「俺や、彼女もおらんし・・・」

タケルが小さな声で呟いた。


「お前、何か出会いとかないんか?」

ゆぅ君がタケルに聞いてる。

「ん~、ないってこともないけど・・・。
 彼女はなかなかな・・・」

「タケルって昔からすごいモテてたじゃん!
 今は、どうなの?」

私は、タケルに聞いてみた。


「お前、まだ水嶋のこと好きなんじゃない
 だろうな?」

ゆぅ君がそんなことを言い出した。

「何回、言わす気や?もう、桃子のことは
 友達として見よるって言いよるだろ?」

タケルが言い返す。

「ホンマかぁ~?」

「もう!ゆぅ君、やめなよ!」

タケルが本気で怒りそうだったので、
私は二人の間に入って止めた。


「タケルもさ、今すごい頑張ってるんだよ?
 何で、分かってあげないの?」

「分かってるよ!つい、言うてしまったんや。
 悪かったな・・・」

ゆぅ君が謝ると、タケルは別にいいしって
言ってくれた。


「お前は、相変わらず桃子のことになると
 すぐキレるな!」

隣で二人のやり取りを見ていた健ちゃんが
笑いながら、ゆぅ君をからかう。

「んなことねぇよ!」


ゆぅ君は少しぶっきらぼうにそう言った。
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