桃色
「お~ぅ、どうしたんや?」


何も知らない健ちゃんがやって来た。


私は声を絞り出しながら聞いた。


「・・あのね・・・聞きたいことがあるの」

「何や?」

「・・・ゆぅ君と美鈴ちゃんが別れたって言ってたやん?」


健ちゃんはうん。と言って頷いた。


「その、理由を教えてほしい・・・」

「悪い、それは今は言えんのや」


健ちゃんはちょっと困った顔で言う。

やっぱり、私なんだね・・・。


「もう、知ってるから言ってよ。私のせいなんでしょ?」
 
「えっ・・・」


健ちゃんはすごくびっくりした顔で聞いてきた。


「桃子、お前それ、誰に聞いた?」


私は今日、美鈴ちゃんと薫ちゃんの話しを聞いてしまったことを話した。


「そっかぁ~、それで桃子は理由聞いてどうする気や?」

「どうする気もないよ、何もしない。だって、私には無理だし。それに、美鈴ちゃんは友達だし・・・」

「でも、美鈴はもう桃子のこと友達だとは思ってないぞ・・・」


私は健ちゃんの言葉を聞いて、泣いてしまった。


健ちゃんは泣くなよと言って私の頭を撫でてくれた。

その優しさが、よけいに辛くて私は大泣きしてしまった。


「なんで、私なの?ゆぅ君はなんで私なんか好きになったの?」


私は健ちゃんにそう問いかけた。


「優士と話してみるか?」


健ちゃんがそう言ってくれたけど、私は首を横に振った。


「無理だよ・・・」

「そっか・・・。でも、優士の気持ちも分かってやってほしい」


健ちゃんは私達の味方だって言ってくれた。


たぶん、私がゆぅ君に惹かれていることに気付いているんだろう。


だから、私にもこんなに優しい。

ゆぅ君、あなたはいい友達を持ってるね。


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