桃色
「何が違うんだよ!?さっきも中庭でぶりっ子してたくせに。健二君も何考えてるか分からんね~」

「健二君も女好きだからしょうがないか」

「ぶりっ子もいい加減にしぃ~」

「ちょっと可愛いと思って調子にのんなよ!」



・・・突然、聞こえたそんな言葉達。

私は驚いて後ろを見た。

その言葉達が私に向けられたものだということは、すぐに分かったから。


すると、外にあの2年の不良達がいた。


私のことは何を言われてもいいよ。

でも、健ちゃんのことまで悪く言われるのはさすがに黙っていられなくて、気付いたら私はこんなことを言っていた。


「私のことは何言ってもいいけど、健ちゃんのことは悪く言わないでよ!」

「はっ?何が健ちゃんや!健二君にまで手出さんといてねぇ~」

「ちょ・・・」

「でも、人の男取るぐらいやから、もう健二君に手ぇ出してたりして・・・」


そんな私と2年の不良達を見て、なつは心配そうな顔をしていた。


・・・今の話、聞こえてたよね?


そうしているうちに、2組も終わったみたいで、千絵が教室から出てきた。


でも、私の前に来た千絵の顔は笑ってなかった。

いつも桃子~って言って来てくれるのに。


私は、千絵の気持ちに気付いていなかった。


本当に私はどれだけ鈍感なんだろう?


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