桃色
そして、私は机にドンっと頭を下ろした。

そんな私を心配したのか、近くの席から健ちゃんがやって来た。


「桃子?違う、・・・水嶋、どうしたんや?」

「どうもしないよ・・・」


私は顔を隠したまま言った。


すると、健ちゃんが私の頭をポンポンと叩きながらこう言ってからかってきた。


「嬉しいくせに~♪」

「もう、うるさいよ!!席戻りなよ~」


健ちゃんはいつも私の気持ちに気付いてくれる。


「ごめん、桃・・・違う、水嶋・・・」


私は笑ってしまった。


「健ちゃん、もう、桃子でいいよ~」


私がそう言うと健ちゃんは桃子の方が呼びやすいんだよな~と言って笑った。



・・・本当は嬉しいよ。


健ちゃんが言うように、嬉しい。


だけど、素直に喜べない。

周りの視線が恐かったから。


みんなどう思ってるんだろう・・・?

私のこと最低だって思ってるよね・・・?


あの頃はこんなことばっかり気にしてた。


人の目ばかり気にしてた。


・・・だからかな?


大切な人達の気持ちに全く気付いてなかったんだね。



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