桃色
「何か話しあるんだろ?」


その沈黙をほどいたのは、私じゃなく、ゆぅ君だった。



私は小さく頷いた。


「何でも、聞くし」

「・・・何でも?」

「おぉ~」



ホントは聞きたいことがいっぱいある。


何で私のこと好きになったの?

私のどこが好きなの?


だけど、そんなこと今ここで聞けないよ・・・。


だからかな、私はこんなことを話してた。



「健ちゃんってさ、優しいよね」

「健二・・・?」


ゆぅ君は一瞬、少し困った顔をして聞いた。


あっ、勘違いされたかな?と思って私は慌てて言い直した。


「好きとか、そうゆうんじゃないよ!なんか、思ってたのとちょっと違うなぁって思ったの」

「えっ?健二のことどんな奴だと思ってたん?」



・・えっとね・・・。


それから、私達は健ちゃんの話で盛り上がった。


「ゆぅ君はいい友達持ってるね!」

「水嶋も健二とダチだろ?」

「・・・えっ?」


私と健ちゃんが友達??そんなこと考えたことなかったよ。


「健二、言うてたぞ。水嶋とダチになったって・・・」

「えぇ~?私、知らないよ?いつ友達になったんだろ?」

「うわぁ~、あいつかわいそう」


ゆぅ君が笑った。

その笑顔を見て私は思ったんだ。


やっぱり、私、ゆぅ君が好きだ。

大好きだって。

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