平安物語【完】
姫君
―…時は朱雀帝の御代
左大臣に次いで権力を持つ右大臣のお家に、御年十七歳の姫君がいらっしゃいました。
その姫君のご容貌たるや、まるでお人形のように整っていらっしゃいます。
その姫君は、十五歳の時に裳着(女子の成人式)をお済ませになりましたが、帝の二の皇子(次男)が東宮(皇太子)にお着きになるのを待って入内(内裏に妃として入ること)なさいます。
東宮に入内なさる日まで、あとひと月と少しございます。
< 1 / 621 >