平安物語【完】



「お可愛らしいこと…

唇やお鼻なんて、東宮様にそっくりにお見受けしますわ。」

とにっこりと申し上げると、嬉しそうなお顔をなさって

「そうですか?

嬉しいものですね。

色の白さや目元の感じは、御息所譲りなのですよ。

おてんばも、あちら譲りですね。

聡明さも受け継ぐと良いのですが。」

と仰います。


―まぁ素直に引っかかってしまわれたわね。


御息所殿とは、透き通るように肌が白く人の心を見通すような強い目をなさっていて、活発で聡明なお方なのね…


ふと姫宮に目を落とすと、無邪気で愛くるしい笑顔を浮かべていらっしゃいます。

将来が楽しみな、御有様です。



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