平安物語【完】



心の乱れが表情に出ていたのか、東宮様が「女御?」と呼びかけられ、姫宮は私の顔を覗き込んでいらっしゃいました。

私は急いで表情を作り、

「そういえば、姫宮を弘徽殿へお連れして大丈夫なのですか?

あちらの方々が嫌がらないでしょうか…」

と尋ねました。


すると

「いえ、私達は弘徽殿へ来た訳ではないのですよ?」

と姫宮のお手を弄びながらにやりと笑って仰いました。



< 105 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop