平安物語【完】



「御息所には、もちろん本当の事を話してあります。

宮が失礼の無いように見張れと言いつけられましたが、あなたと会わせる事には寧ろ喜んでいましたよ。」

「そうですか…」


―なんて、綺麗なお心なの…

私の心はいつも嫉妬や不安が渦巻いているのに。

素晴らしいお方…

東宮様が大切になさるのも、道理だわ

東宮様、そんなにお褒めになって…本当はもう御息所殿が愛しいのでは…?

こんな可愛い姫をお生みになった女君ですもの…


無意識の内に、涙が頬を伝っていました



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