平安物語【完】
―…その夜
あの後、東宮様と姫宮は昭陽舎へと行かれました。
―姫宮が、東宮様に負けず劣らず恋しいわ。
姫宮がこの前を通って梅壺へお帰りあそばす時に、素通りされたらどんなに悲しいだろう…
何とか姫宮と関わりを持ちたいと考えを練るのも、思えばおかしな事です。
―幼子が、あんなに可愛いとは知らなかったわ
東宮様が御息所殿をお召しになる頻度が大きくなってゆくのも、どうしようもない事なのかもしれない…
沈んだり微笑んだりしながらあれやこれやと考えに考えた結果、お近づきの印に何か贈り物を差し上げようと決め、可愛らしいお人形を用意させました。