平安物語【完】



「姫様、もう間もなく東宮様がいらっしゃいます!

今お使いが参りまして…」

それから先の言葉は聞こえませんでした。

乳母の言葉を聞いた女房達が、急いで片付けやお迎えする準備を始めたため、騒がしいほどに衣擦れの音が充満したのです。


―本当に、いつもいつも急なこと…!

無礼と言えば無礼ですわ。

でも…嬉しい。


私も身の回りの物など片付けさせて、身繕いをしておりました。



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