平安物語【完】
やがて姫宮が三歳におなりあそばして、御袴着の儀式(子供が、初めて袴を着ける儀式)が盛大に執り行われました。
慣れない袴を引きずって私のもとへ歩いていらっしゃるご様子は、それはもう愛らしくてなりません。
姫宮の御袴着に合わせて、母御息所殿は更衣へと異例の昇進をなさいました。
たったお一人の姫宮の御母君のご身分が低いのはおいたわしいし、ご本人の出自に合わぬ事と尚仁様が悩んでいらっしゃるところに、図々しくも私がお勧めしてなされた事でした。