平安物語【完】
御身分も十分になり、私の進言での昇進と何処かでお聞きになった梅壺の更衣殿は、初めて姫宮と共に私を訪ねてくださいました。
その時の驚いたこと…
並外れて美しいという訳では無いものの、白く透き通るような肌と強い瞳には感嘆の溜め息を小さく漏らしてしまいました。
髪はちょうど背丈程で、ふさふさと豊かです。
体つきも女らしく、私には無い色気がおありでした。
そして何より、機転が利いて奥ゆかしい身のこなしは、敵ながら天晴れといった感じでした。