平安物語【完】
おずおずと私が扇を下げると、東宮様は嬉しそうに微笑まれます。
そんな東宮様が魅力的で、私もふと顔を上げました。
すると東宮様は、私の顔を凝視して固まっておいでです。
驚いて袖で顔を隠すと、
「あっ、重ね重ね失礼しました。」
とまた赤くなっていらっしゃいますので、小さな声で
「何かついておりましょうか…?」
と申しますと、
「いえ…あなたが、その…
想像していた以上にお美しいので…」
と口ごもっていらしますので、今度は私が赤くなってしまい、ますます顔を隠すばかりです。
すると
「女御、今日からあなたは私の妃です。
どうかお顔を隠さないでください…」
と腕を掴まれ、東宮様の胸に抱かれました。
お可愛らしいと思った東宮様のお胸は、思ったよりも広く逞しく、私はもう身を任せるばかりでした…