平安物語【完】
「そんな事、仰らないでください…」
尚仁様の胸に顔をうずめて言いました
「あなた様は素晴らしい天子様になりますとも。
たとえ二人で誰もいない所へ行っても、あなた様はこの国をお案じなさるでしょう…
私がお側でお支え致します。
たとえ他のお方を中宮になさろうとも、私があなた様のお側を離れる訳がございません。
私はあなた様のお側にいられるだけで幸せ…私の幸せはあなた様なのですから」
いつしか私の目からも涙が溢れ、尚仁様のお召し物を濡らしていました。