平安物語【完】



―…翌年の春


梅壺の姫宮は、早くも五歳におなりです。

近頃はお琴がお気に入りのご様子で、「上手になったら女御様と合奏するの!」など可愛らしいことを仰って、練習に精を出していらっしゃいます。


更衣殿とも折について文を交わしたり、時には弘徽殿へおいで頂いてお話したりしています。


尚仁様のご寵愛も、恐れ多くも、相変わらず私一辺倒で、穏やかで幸福な日々が続いておりました。


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