平安物語【完】
そんな頃、俄に式部卿の宮様のご出家の噂が立ちました
亡き紅葉の上の一周忌の法要が済んだら、俗世を捨てるおつもりだ…と。
そして、それならばと若い貴公子達が式部卿の姫宮に求婚を始めたのでした。
お二人の御子なら、どんなにかお美しいことかと想いを募らせているのです。
しかし勿論、式部卿宮様は求婚を一切認めず、女房たちにも軽率な手引きなど絶対にしないよう、きつく言い渡していらっしゃるそうです。