平安物語【完】



―…

私は、右大臣家の長女。

名前など、お訊きくださいますな。

女性貴族の名を知り得るお方は、親と夫だけなのです。

年は十七になりました。

東宮様に嫁ぎ、ゆくゆくは中宮(天皇の正式な妃)となるべく育てられてまいりました。

東宮様が御元服(男子の成人式)なさいましたらすぐ、弘徽殿(内裏にある妃の御殿の一つ)へ入内する事が決まっております。



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