平安物語【完】
その時、東宮様のお使いが参りました。
私が直々に会う事はありませんので、私の女房が会って私に伝えます。
その女房がお喋りで、なかなか私の所まで参りません。
何でしょう?
東宮様からお使いだなんて…
もう、世間話などしていないで、早くこちらに来てくれれば良いのに…
私は、奥ゆかしく取り繕う事も忘れて、
「東宮様のご用を滞らせるなど、何とも失礼な事です。
早くこちらへ参るよう、伝えなさい。」
と、近くにいた女房に申しつけました。
その女房が簾の外に出てお喋り女房に合図すると、はっとして、やっと私のもとへ参りました。
お使いは、近くにいた私の女房に何か言って、部屋を出て行きました。