平安物語【完】



「何か、あったのですか?」

私が落ち着いた頃、尚仁様が優しくお尋ねになりました。


「…寂しゅうございました。」

決して嘘ではありませんが、一番の理由ではありません。

しかし頭中将殿の事など申せなかったのです。

私がきっかけで、大事となるのは嫌ですから…



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