平安物語【完】
「御難産でいらっしゃること。
祈祷はさせているのでしょう?
もっと僧をかき集めて…」
「兵部卿宮様はもちろん、姫様と東宮様、それから左大臣家でも祈祷をさせていらっしゃるので、もう僧も尽きてしまいます。
どうか落ち着きあそばしませ。」
そう、宮様がいよいよご出産なのです。
昨日産気づかれたという知らせが入って以来、もうずっと音沙汰がありません。
もう居ても立ってもいられず、私も御仏に祈り続けています。