平安物語【完】
もう日が完全に沈みきるのも待てず、支度をしてすぐに尚仁様のもとへ参りました。
昭陽殿へついてすぐ、まだ御寝所へは距離があるところで、尚仁様が誰か殿方とお話しなのが見えました。
私が足を早めると、衣擦れの音が聞こえたのか、尚仁様がこちらを振り返られて早足でおいでになりました。
私はもう待ちきれず、嗜みも無く尚仁様へ腕を伸ばします。
すると尚仁様は、ひしと私を抱き締めてくださいました。