平安物語【完】



「あの…御寝所へお入り頂けますか…?」

おずおずと、私の供の女房の言う声で我に帰りました。


「あっ…」

恥入って尚仁様から離れようとすると、ひょいと抱き上げられてしまいました。

そして

「もともと軽かったけれど、病気を挟んで更に軽くなってしまわれましたね…。

何か食べたいものがあれば言いなさい。」

と案じてくださるのでした。



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