平安物語【完】



「あ、あの、降ろしてくださいませ…」

供の女房達が照れたように赤くなっているのが見え、どうしようもなく恥ずかしさが込み上げてきました。

また例のいたずらっ子のようなお顔をなさっているのかと、上目遣いで拝しますと、予想に反して真剣な表情でいらっしゃいます。


「駄目です。

私の胸に顔をうずめて、袖でも覆っておきなさい。

良いですね。」


普段と違うご様子に驚いて、仰る通りにしますと、私を抱いたまま振り返って御寝所へと向かわれました。



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