平安物語【完】



しばらくその気まずい沈黙が続き、私がしびれを切らして反論しようかと思った時でした。

尚仁様がふわっと私を抱きしめて、
「…すみません

あなたは何も悪くないのに、八つ当たりですね…

誰にも見られることなく仕舞っておきたいようなあなたばかりを、どうしてよりによって頭中将に見られ聞かれてしまうのでしょう。

前世からの深い縁があるのではないかと心配になるのです」

と仰いました。



< 304 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop