平安物語【完】
私は微笑を浮かべて、首を振りました。
「そのような事は、お気になさいますな。
なるようになりましょう。」
と申し上げると、尚仁様は声をあげてお笑いになって「そうですね。」と仰います。
そしてその夜は、お二人の姫宮様のお話をし通して明かしてしまいました。
――…女一の宮様(第一皇女の敬称)がお生まれになった時のように「あなたの子も欲しい」と仰らないのは、もう諦めておいでだから…?
そんな思いが浮かびましたが、黙殺いたしました。