平安物語【完】
『後ろ安く大殿籠もる君の背を 揺り起こすこそ 憎からんめり
(安らかにお休みのあなた様をお起こしするなんて、それこそ愛情の薄い行動でございましょう。)
すぐに寝てしまわれた方こそ、お心が薄くていらっしゃるものと思われます。』
ぴたりと筆を止めて、しばし悩みました。
私の愛をほのめかす言葉を続けるか、このまま終わるか…
恥ずかしい、恥ずかしいけれど…
対面すると素直にはなれない私ですもの、手紙でくらいならば重たくもないのではないかしら。
私がお慕いしている事に気づいて頂きたい…