平安物語【完】



「いくらご出家を果たされたとは言え、好機にはお会いできるのでございましょう?」

私が何とかお慰めしようと申し上げますと、尚仁様は自嘲気味にお笑いになって

「さあ…どうでしょう。

この窮屈な東宮という身では、縁起が悪いと言われる出家した人には、そう易々とは会えないでしょう。

本当に…」

強く唇を噛んでいらっしゃる尚仁様を見るに耐えられなくて、私はついに涙を流しました。



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