平安物語【完】
―――
月日が流れ、麗景殿の姫宮も御袴着の儀をお済ませになりました。
腰結いの役は、なんと帝が直々にお務めあそばしました。
その時に始めて対面を果たされたらしく、帝は感動のあまり落涙あそばしたとの噂です。
外祖父にあたる入道の宮様は、やはり出家の身だからと頑として誘いをお受けになりませんでした。
左大臣は相変わらず、麗景殿の母娘を大切にお世話し申し上げています。
くちさがない女房達の噂話によると、麗景殿宮様もすっかり左大臣にお心を許されて、几帳だけを隔てて直接お話しになるのだとか…。
まるで穏やかな日々が流れておりました。